埼玉県所沢市Iハウス

建物を45度ずらし、「隙間」に豊かさを生んだ十字型の住宅埼玉県所沢市に建つ、木造2階建ての「上質な家」。敷地を最大限に活かしながら、建物の配置を45度ずらすことで生まれた「間」が、暮らしに余白と豊かさをもたらします。

外観

アプローチから見えてくる外観は、庭を囲むような佇まいを感じさせます。建物を45度ずらした配置が、正対しない角度から建物を見せ、奥行きのある表情を生んでいます。白色でまとめたシンプルな本体に対して、緑色の木目がアクセントとなり、街並みになじみながらも凛とした印象を添えています。夜には窓からこぼれる灯りが、住まいの温もりを映し出します。

外観(昼) 外観(昼) 外観ディテール 外観(夜景) 外観(夜景)

LDK・リビング

十字型プランの先端部分に、それぞれリビングとダイニングを配置しました。中心から伸びた腕の先にあることで、両者はゆるやかに離れながらもひとつながりになっています。上部は吹抜けとし、高窓から光が差し込む構成です。45度ずらした配置によって、将来南側に建物が建っても光が確保できるよう計画しています。

LDK LDK
リビング ダイニング ダイニング

キッチン

キッチンは、十字型プランの交差部に設けました。先端にあるリビングとダイニングに挟まれた位置です。この中心に立てば、家じゅうの様子をうかがうことができます。調理をしながら家族の気配を感じられる、この家の司令塔のような場所です。

キッチン キッチン キッチン

建築家コメント

建築当時、この住宅の前面——南側は畑でした。しかし、将来的にそこへ住宅が建つことは十分に想定されます。いま目の前が開けているからといって、その景色を前提に設計するわけにはいきません。何十年と住み続ける家だからこそ、変わりうる周辺環境を織り込んで計画する必要がありました。

仮に、建物を敷地の辺に平行に配置したとしたらどうなるか。将来南側に住宅が建てば、その影がまともに落ち、明るい住まいは叶わなくなります。そこで採ったのが、建物を45度回転させてずらすという方法でした。敷地の輪郭と建物の輪郭がずれることで、そのあいだに隙間が生まれます。

さらにプラン自体を十字型とすることで、この隙間はより大きく、より明快なかたちになりました。十字の四方に生まれた隙間は、単なる余りではありません。光と風の通り道であり、テラスであり、洗濯物を干すサービススペースでもある。使い道を持った「間」として、暮らしの中で働きます。

この家のコンセプトは「隙間」と「余白」です。敷地いっぱいに建てて部屋を詰め込むのではなく、あえてずらし、あえて空ける。そうして生まれた余白が、将来にわたって光と風を確保し、日々の暮らしに豊かさをもたらしてくれると考えました。

階段・動線

ダイニングから2階へアクセスする階段です。ダイニングの上部は吹抜けになっており、その空間の中を利用して開放的な階段を計画しました。高窓から差し込む光の中を上り下りすることになり、移動そのものが心地よく感じられます。

階段

寝室・居室

寝室にはウォークインクローゼットを隣接させ、衣類の出し入れから身支度までを短い動線でまとめました。子ども部屋は、将来2部屋に分けられる設計としています。家族のかたちの変化に、間取りのほうが合わせられる計画です。

寝室・居室 寝室・居室

洗面・水廻り

洗面室へは、キッチンの裏側からアクセスします。料理をしながら洗濯を進めるといった、家事の同時進行がしやすい配置です。洗面室の先には、十字型プランによって生み出された隙間があり、ここが洗濯物を干すサービステラスになっています。「余白」が、そのまま家事のための実用的な場所として働いています。

洗面・水廻り 洗面・水廻り

和室

和室はキッチンの正面に設けました。ここからも、十字型プランが生み出した隙間のテラスへアクセスできます。リビングと和室に挟まれたこのテラスは、ウッドデッキで両者をつないでいます。客間としても、家事やお昼寝のスペースとしても使え、屋外へ抜けられることで、一室にとどまらない広がりを持っています。

和室 和室