東京都文京区Nハウス
窓のないファサード、木製ルーバーだけが主張する狭小住宅東京都文京区に建つ、木造3階建て + ビルトインガレージの「小さくても良い家」。格子に包まれた半屋外デッキを軸に、コンパクトな中に光・風・視線の抜けを丁寧に織り込みました。
外観
外観に窓がなく、木製ルーバーのみが表情をつくっているのが目を引きます。ビルトインガレージと一体になったエントランスは、夜間の照明で浮かび上がります。木製ルーバーから漏れる光が美しく、昼は静かに閉じた佇まい、夜は内側の灯りが格子を透かして街へにじむ——時間によって違う顔を見せる外観です。
LDK・リビング
明るい色合いの内装に、チャコールグレーの鉄骨階段がアクセントとして効いています。リビングはテラスと床がフラットにつながり、室内と屋外の境目を感じさせません。階段室と一体になった吹抜けからの光が、建物の内部深くまで届きます。限られた床面積でも、視線が水平にも垂直にも抜けることで、狭さを感じさせない設計としました。
キッチン
オープンキッチンです。キッチンからテラスまでが連続した空間になっているため、視線が奥へと抜け、実際の面積以上の奥行きと広さを感じさせます。料理をしながら家族と会話を楽しめる配置です。
建築家コメント
間口が狭くなりがちな都心部の敷地です。こうした条件では、行き当たりばったりで平面を描くのではなく、あらかじめいくつかの「決まり事」を立ててから計画を進めます。
この住宅で定めたのは3つでした。ひとつ、駐車場と玄関を設けること。ふたつ、半屋外空間を設けること。みっつ、建物中央に階段室と一体の吹抜けを設けること。限られた間口の中で優先順位を先に決めておくことで、後戻りのない設計ができます。
ファサードは、余分なものをそぎ落としました。窓を並べる代わりに、木製ルーバーだけが主張する外観です。必要な光と風はルーバーが受け止め、外に対しては静かに閉じる——引き算によって輪郭を際立たせた佇まいです。
ルーバーデッキ・屋外空間
目隠し壁である木製ルーバーは、下方からの視線を遮りながら、上方からの光と風は内部にやさしく取り込みます。遮るものと通すものを、格子の向きと隙間で描き分けているわけです。狭小住宅において、こうした半屋外空間の活用は、生活と空間に彩りを与える大切な要素です。人目を気にせずくつろげる、この家の特等席です。
階段・動線
間口が狭く奥行きのある敷地では、住宅は後方に行くに従って暗くなります。階段室は中央に設置されることが多いため、その階段室と吹抜けを合わせた空間からの光が、暗くなりがちな建物内部を明るく照らします。狭小地においてとても有効な方法です。上下階へ光と気配を通し、立体的な広がりを生みます。
寝室・居室
各個室は明るく、青系色と白色のコントラストが美しく仕上がっています。一方、寝室は反対に暖色系でまとめ、落ち着きのある内観としました。同じ家の中で、部屋の役割に応じて色の温度を変えています。
洗面・水廻り
ホテルのような洗面室を、コンパクトに収めました。洗面台は造作でこの空間に合わせてつくり、三面鏡は既製品を選んでコストを抑えています。つくるところと選ぶところを見極めることで、質を保ちながら予算を配分しました。